施設内で途切れないケアを届ける周産期サポート
フィンランド語で「アドバイスする場所」を意味する「ネウボラ」——長岡産婦人科クリニックはこの考え方を軸に、佐倉市版ネウボラの構築を掲げている。思春期の相談から産前産後ケア、子育て支援センター、小規模保育まで、すべてを同一施設の中で運営する体制がここにはある。妊娠期に通い始めた場所で産後のフォローも受けられるため、環境が変わることへの不安を抱えずに済む。出産から育児へと続く時間を、ひとつの場所で見守り続ける仕組みは佐倉市内でも珍しい。
個人的には、保育まで施設内に組み込んでいる点がとくに印象的だった。「退院後すぐに相談できる場所があるのは心強い」という声が利用者の間で目立つ。産科と子育て支援が物理的に隣接しているからこそ、助産師や保育士へのアクセスに時間差が生まれにくい。切れ目のないサポートを謳うクリニックは多いが、ここでは建物の構造そのものがその言葉を裏打ちしている。
昭和56年開業、親子二代が積み重ねた佐倉での歩み
1981年、医学博士・長岡貞雄が千葉県佐倉市王子台に開いたのが長岡産婦人科クリニックの始まりだ。東邦大学医学部卒業後、同大学産婦人科教室や国立習志野病院での勤務を経て開業に至った経緯がある。以来40年以上にわたって地域の分娩や婦人科診療を担い、3世代で通い続ける家族もいるという。医療法人社団陽政会として運営を続け、佐倉市の周産期医療における存在感を保っている。
2022年4月、理事長の息子である長岡理大が院長職を継承した。理大院長自身、昭和56年にこの場所で産声を上げている。東邦大学医学部を2012年に卒業し、東邦大学医療センター佐倉病院や東京女子医科大学での非常勤勤務を経てクリニックに戻った。生まれた土地で医療を続けるという選択は、地域周産期への想いを形にしたものだろう。
女性医師の外来枠とチーム診療の安心感
火曜日と金曜日には女性医師が外来を担当し、土曜日にも不定期で診察にあたっている。婦人科特有のデリケートな症状について、同性の医師に話せる曜日が確保されていることは通院のハードルを下げる一因になっている。長岡産婦人科クリニックでは医師と助産師がチームとして動き、診察室での説明から分娩時の対応まで連携しながら進める。初診時には診察内容を丁寧に伝える時間を設けており、保険証やお薬手帳を持参すればスムーズに受診できる。
「男性の先生だと緊張してしまうけど、女性医師の日を選べるので助かる」という声は少なくない。がん検診やブライダルチェック、避妊相談など受診理由は人によってさまざまで、どの入口から来ても対応できる診療メニューが揃っている。京成臼井駅から徒歩約7分、24時間利用できる駐車場も第1・第2の2か所を備えているため、電車でも車でもアクセスしやすい立地にある。
産婦人科専門医が掲げる「命をつなぐ」という方針
院長の長岡理大は日本産婦人科学会認定産婦人科専門医であり、医学博士、母体保護法指定医の資格を持つ。新しい命の誕生に立ち会える産科の仕事に強い使命感を抱き、「命を大切につなげていく」ことをクリニック全体の方針として打ち出している。お産は命懸けの場面であるからこそ、少しでも助けになれるよう精一杯手を尽くす——その言葉が診療の根底に流れている。
生理不順や子宮筋腫、卵巣嚢腫といった婦人科疾患から更年期の不調まで、年代を問わず相談が寄せられると感じる利用者も多い。妊娠・出産の時期だけでなく、思春期から更年期以降まで女性の身体の変化に長く伴走する姿勢が、長岡産婦人科クリニックの診療には一貫してある。「ちょっと気になる」程度の段階で受診する患者が増えている点は、日常的な健康相談の場として機能している証左だろう。


